土地の測量が必要な場合
- 上野 邦幸
- 7 日前
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土地の測量が必要となることがある場合には主に下記の3つがあります。
・土地を分筆(1つ(1筆)の土地を複数に分割)する場合
※必ず必要
・土地を売却する場合
※契約の内容によるが(必須ではないが)必要な場合が多い
・建物を新築する場合
※一般的に道路境界については確認が必須(過去に確認されていない場合等)
① 土地の分筆をする場合
1つ(1筆)の土地を複数に分割する場合には当該土地全体の位置(隣地との境界)を明らからにしてからでなければ分割することができません。
土地を分割する必要がある主な理由は土地の一部を売却する場合や、複数名で相続する土地を共有ではなく分割して各々相続するような場合があります。
※法務局備付の地積測量図又は地図(公図)等の資料で土地の境界が明らかな場合には各土地の所有者が土地の境界について立会・確認をしたことを証する『境界(筆界)確認書』等の立会証明書を添付する必要はありませんが、明らかでない場合には添付を求められることがある。(法定添付書類ではないが添付することが令和4年4月までは一般的でした)
※立会い等による確認は必要です。
【地積測量図】
測量成果に基づく観測結果である座標値(XとYの座標値で面積の計算のため記載がある)の記載があり、測量の基準点として利用した基本三角点等の位置又は恒久的地物(容易には動かない点)の座標値の記載があるもの等であれば土地の境界が明らかであるということができる可能性があります。
※座標値の数値が世界測地系と呼ばれる数値であれば大体(測量には誤差等が必ずあるため)の位置の情報になる。
※土地の境界標(目印)が無く設置する場合には必ず立会・確認が必要です。
【地図(公図】
地図(公図)には大きく分けて2種類あります。
14条地図と地図に準ずる図面の2種類で、14条地図は比較的正確ですが、地図に準ずる図面は14条地図として取扱うことができないが14条地図が作成されるまで地図に準ずる図面として法務局に備付されている図面であまり正確ではありません。
※地図に準ずる図面の多くが土地台帳附属地図というかなり古い(明治~昭和)時代に作成されたものを基に電子化されたもの。
14条地図も2つに分けることができます。
測量の成果を基に作成されたものと、図面上の数値を基に作成されたものになりますが、測量成果を基に作成された14条地図(国土調査等)で現地に国土調査等を実施に利用した基準点が残っている場合等、比較的最近作成された地図には測量当時の位置を現地に表現することが比較的容易に可能です。
(土地の境界が明らかであるということができる可能性があります。)
土地を分筆するためにする土地の測量は原則、隣地の所有者や道路の管理者による土地の境界の確認が必要になり、登記の申請には確認したことを証する立会証明書の添付が求められる場合があるということになります。
※立会等による確認は必要です。
② 土地を売却する場合
土地を売却する場合には、ほとんどの方が不動産会社(宅建業者)に依頼して買主を募集することになります。
買主が決まると契約締結の際に契約書を作成しますが、契約書の内容に土地の境界明示義務(土地の境界を明らかにする義務)の記載があることがありますが、具体的にどの程度明らかにする必要があるかは記載が無いことが多いため、当事者(売主及び買主、仲介業者)等で取り決めをするようです。
※建売の建築会社が買主の場合には測量及び境界確認を求められる可能性が高いです。
※市街地等では測量及び境界確認を行い土地を売買することが多いように感じます。
※その他、境界標(目印)の有無、土地の売買金額、土地の利用状況等を勘案して決めているように思われる。(契約の内容は当事者間で決めることができます(自由))
③ 建物を新築する場合
一般的に、新築する建物が隣地(お隣さん)や道路等に越境(はみ出して)してしまってはいけませんので新築する敷地の土地の境界が明らかでない場合には確認が必要になることがあります。
道路については建築基準法等で建築敷地の接道(接している道路)の幅員(道路の幅)等に決まりがあるため道路との境界は重要になります。
※幅員が4m未満の道路については反対側の道路境界の確認が必要になる場合があります。
土地の測量及び立会い等による確認の流れ
① 隣地所有者等に土地の測量を行うことを通知(ご挨拶)
② 土地及び周辺道路等を調査・測量
※現地で既存の境界標の有無や土地の外周を囲む構造物等を調査・測量
③ 法務局備付の資料及び地方自治体の保管する資料等を用いて比較する等測量結
果を確認
※土地の地積(面積)や土地の点から点までの距離等
④ 土地の境界標の亡失(無くなって)箇所及び境界標が無いところの位置を計算
⑤ ④で計算した位置を現地に表現する(仮の杭を設置)
⑥ 各隣地所有者等に立会いをお願いする
※必要があれば立会証明書を作成(署名又は記名押印)
⑦ 立会いが完了した仮杭の位置に境界標を設置する
土地の地積(面積)が登記簿の地積と一致しないことが実は結構頻繁にあります。
また、開始から完了までには数カ月から1年以上かかる場合があります。
※隣地所有者等が土地の境界確認についてご協力を頂けない場合等
※道路境界の確認が必要な場合(管理者による)
土地の境界について調査及び測量を行う必要がある場合、可能であれば早めに実施す
ることをおすすめします。
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